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パーフェクトスーツファクトリー

2008年10月3日(金曜日)

合同企画「リーダーズギキョクキャンプ」ブンコキャンプ編(2)いつでも読みかけに

カテゴリー: - リーダー @ 18時33分26秒

日はまず、ミステリーとかSFとか、純文学(本格文学)以外の比較的娯楽的な小説を"ジャンル小説"なんて呼ぶことを何となくでいいから覚えてくれ。

今、純文学とか、娯楽的な小説って言葉を使ったけど、これはあくまで便宜上のことだ。
どこまでが純文学でどこまでが娯楽的な小説なのかっていう定義の問題があるし、そもそも小説って娯楽的なものじゃないのか、だとしたら純文学ってのは何なんだ、っていう部分にも議論の余地がある。
そのあたりは現在の小演劇にも深く関わる部分だから、あとでまた取り上げるぞ。

今日は、そのいわゆる"ジャンル小説"を使って、"常に本を読みかけの状態にする"トレーニングをするぞ。ついてこい!

オレが小演劇を観ていて、どんなジャンル小説から一番影響を受けていると感じるかというと、それはファンタジーだな。

ちょっと厳しいことを言うようだけど、その演劇がファンタジーだからって、前に取り上げた指輪物語とか、あるいは不思議の国のアリスなんかを詳細に分析して上演していることはほとんど無い。
大体あくまで"ファンタジックな物語"ということに過ぎないんだけど、それでもジャンルとしてのファンタジーが、演劇をやるような層に希求するっていうか、脚本家がそういうお話を書きたくなる傾向にある、ってことだけは確かだろうな。

一言でファンタジーって言うけど、文学としてのファンタジーは大きく分けると二種類ある。指輪物語みたいに、剣と魔法の世界を仲間が旅し、大事な使命を果たして帰ってくる、っていうようないわゆる"いきてかえりし物語"のパターン。

もう一つは、ハリーポッターみたいな、剣と魔法の世界のような異世界の物語でありながら、本質的には謎解きの要素が強い、いわゆる"ミステリー・ファンタジー"。

ここにもまたミステリーが出てきた。
こうなると、ミステリーってのはただ推理小説のことを指すんじゃないような気がするだろ?"物語を通じて、大きな謎を解き明かしていく"ってのが物語の本質だから、小説は本質的にはみんなミステリーと考えた方がいいかもしれないな。

これもまた演劇の判断材料になるんだ。
例えば演劇を観て、「あ、これはファンタジーだな」と思ったとしよう。見終わって、上の二つのどちらでも無いとしたら、それは少なくとも"今までになかった画期的な作品"か"勉強不足の産物"の二択になるわけだからな。

そういうことを踏まえた上で、今日はこれを紹介しよう。

予言の守護者―ベルガリアード物語〈1〉 (ハヤカワ文庫FT)
David Eddings 宇佐川 晶子
4150203806

本当はこれじゃなくても良かった、何て言うと語弊があるけど、今回の題材としてはハリー・ポッターでもゲド戦記でも良かったんだ。

何故なら今回は、そのような"ベストセラー・ファンタジー"というものの存在を知って欲しかったからなんだ。
みんなが知っているであろうハリポタもゲド戦記もブンコで出てない(つまり高い)から、今回はこれを選んでみたわけだ。

“ベストセラー・ファンタジー"っていうのは、名前通り売り上げの多かったファンタジーのことを指すんだけど、それ以外に、この本みたいに"巻数が大体5巻以上あって、長くシリーズ化されているファンタジー"っていう意味も含まれるようになった。

読者がファンタジーにそのような要素を求める=売れるからなんだけど、シリーズ化されているってことは、次も買って貰わなきゃいけないわけだから、大体続きが気になるように書いてある。

だから一度読み始めてしまうと、続きが気になって何冊も買ってしまうし、続きが気になるからもの凄い勢いで読むだろ。
その上、また同じような読書体験がしたくなって、別のシリーズにも手を出してしまう…こういうサイクルで、常に読書をしている状態になるわけだ。

こうなったらしめたものだな。何故って、読書って本来そういうものだからだよ。
面白く読めて、それがずーっと続くなら、それはまさに"趣味は読書"って状態なわけだ。

だから、恒常的に読書をする状態に自分を持って行きたいなら、これら"ベストセラー・ファンタジー"のいずれかを好みで選んでみるといいと思うぞ。

問題は、下手すると読書で日常生活に支障をきたす恐れがあるって事だ。オレみたいにな!

みんな!最後までよく頑張った!1,2,3,ヴィクトリー!


2008年9月18日(木曜日)

合同企画「リーダーズギキョクキャンプ」ブンコキャンプ編

カテゴリー: - リーダー @ 20時58分22秒

「EG宣言」と「リーダーズブンコキャンプ」の合同企画って事で、今回はこっちでも戯曲について鍛えていくぞ。
ブンコキャンプとしての立場から、どうやって戯曲を書くのかを学んでいこうというわけだ。

どうやって書くのかって、普通にパソコンの前に向かって書くんだろう、って思うかも知れない。
ここで、「戯曲だって文学」だという当然のことをもう一度確認しておこう。
人間何にもないところからいきなり文学作品を作るのは不可能に近いのはわかるよな。
たとえ出来たとしても、それはやっぱり長続きしないだろうな。
良く戯曲家がネタ切れに苦しんだり、台本が極端に遅れたりって事があるけど、それは日常的にブックリードしていないことが主な原因なんだ。

じゃあ、世の戯曲家ってのはどんな本を読んでるのか=どんな文学の勉強をしてるのか、ってのを判断するのは、実は難しい。
今やみんなテレビとかゲームとかのサブカルチャーからの影響の方が強いだろうからな。
それでも、いつまで経ってもテレビやゲームが文学の影響から逃れられないのと同じように、演劇(戯曲)だってそうなのが理屈だし、少ないかもしれないけど、ブックリーダーから見ると、文学からの影響関係が感じられる演劇(戯曲)もある。

今回はそんな中から二点、というか二人の小説家を紹介するぞ。

流れよわが涙、と警官は言った (ハヤカワ文庫SF)
フィリップ・K・ディック
4150108072

猫のゆりかご (ハヤカワ文庫 SF 353)
カート・ヴォネガット
4150103534

二人ともSF作家だ。しかも二人ともアメリカ人。この頃の"アメリカSF"を代表する存在としてとりあげてみたぞ。
日本じゃ主に80年代に読まれてるな。

80年代に演劇に何が起こったかっていうと、商業主義的(←他に適当な言葉が見つからないからこう呼ぶけど、悪口じゃないぜ)な"小演劇ブーム"があった。
この頃に上にあげた作家たちを読んで青春時代を送ったような世代が、80年代の小演劇ブームへの一種のアンチテーゼ的気分を抱えて、90年代に活動を開始するわけだ。
名前はあえて挙げないけど、90年代に活動を開始し、現在大手小演劇(←変な言葉だけど仕方がない)と呼ばれているような劇団の座付き作家の何人かに、ヴォネガットやディックからの影響が感じられるんだ。

で、それ以降の小劇団はかなりの部分で今の大手小演劇からの影響を受けているから、小劇団の作家は殆どが"アメリカSFのひいひいひい孫"かもしれない。
“ひい"が何個入るかはわかんないけど、文学的な観点から言えばまあそんな感じだろうな。

ただ、アメリカSFから何か方法論を取り入れたわけじゃない。
というよりも、SFはミステリーみたいに一定の構造というか書く上での手法があるわけじゃないんだ。
むしろ主に設定やディテールで読ませるジャンル、と言ったらいいかな。
だから、みんなそれらの作品が持つある種の"気分"とでも言ったものを、自分の戯曲に取り入れたわけだ。

小演劇ファン、あるいは演劇をやろうと思っている人たちには、とりあえず上に挙げた作品を読んでみるのをお勧めするぞ。今までブンコキャンプで取り上げてきたブンコに比べりゃ格段に読みやすいしな。
読んでみて、「今の小演劇は基本的にはSF」だと頭に入れておくと、観劇の助けになるかも知れないぞ。

みんな最後までよく頑張った!1,2,3,ヴィクトリー!


2008年8月26日(火曜日)

夏休み課題図書(2)

カテゴリー: - リーダー @ 23時14分43秒

盆を挟んでまた2週空いちまったし、夏休みもあとわずか、ってところで薦める本じゃないかもしんないけど、終戦記念日なんかで戦争の話題が多くなるこの時期だからこそ読んで欲しいブンコがあるんだ。

新版 指輪物語〈1〉旅の仲間 上1 (評論社文庫)
J.R.R. Tolkien 瀬田 貞二 田中 明子
4566023621

世間じゃ良く世界三大ファンタジーなんて言い方をする。
この「指輪物語」と「ナルニア国ものがたり」に、あと「ゲド戦記」を入れるか「ハリーポッター」を入れるか、ってところなんだけど、オレは「指輪物語」だけは別格にすべきだと思う。
理由は、「指輪物語」が無かったら「ナルニア」も「ゲド」も「ハリポタ」も無かったからだよ。
指輪物語は、ファンタジー云々ってよりは、20世紀を代表する文学作品だと認識しておきたいよな。

勧めといてなんだが、指輪物語は、「カラマーゾフの兄弟」を初めとする一生に一回は読むべき長編小説が読めるようにするための訓練としては適当じゃない。
何故って、この本自体がその一生に一回は読むべき長編小説そのものだし、読むのはある意味一番難しいんだ。
だって、現実の世界だったらまだしも、指輪物語は空想上の世界が舞台だ。
ましてやオレたち日本人が情景を思い浮かべるのは至難の業だ。

それでもオレたちはまだ運がいい。この映画の存在があるからな。

ロード・オブ・ザ・リング ― スペシャル・エクステンデッド・エディション
J.R.Rトールキン
B000069L4K

前に言ったよな?映画も読書のトレーニングマシーンだって。
この映画は本当に良くできている。ただでさえ長編小説の映画化は難しいのに、どうやって全部で6巻もある、しかもあんな壮大なファンタジーを映像化するのか、もし自分が監督だったら途方に暮れちまうかもしれないけど、この三部作は最良の答えを出してるだろうな。
時間に追われる現代人には、とりあえずこの映画見ちまってから読むことを強くお勧めするぞ。

あと、オレたち日本人は、指輪物語に関して他の国(もちろん英語圏以外)の人々より幸運を得ている。
何故なら、瀬田貞二氏の訳で読めるからだよ。

作者トールキンの意向に従って、訳者である瀬田氏は、固有名詞についてはある程度日本語に直した。
剣の名前である"Sting"を"つらぬき丸"にしたり、登場人物の名前(渾名)"Strider"を"馳夫"にしたりだな。
これは好みもあるし、人によっちゃ「原作のイメージに合わない!」なんて怒る人もいるかもしれないけど、その他じゃ得難い独特の言語感覚にも注目してみてくれ。

冒頭で「終戦記念日なんかで戦争の話題が多くなるこの時期だからこそ読んで欲しい」って言ったよな。
何でかって言うと、指輪物語は、ファンタジーでありながら戦争小説でもあるからなんだ。
そのことを頭に入れながら読むと、現実の戦争を扱ったどんな小説よりもリアルに「戦争とは何か」が肌で感じられるかもしれないぞ。

みんな!最後までよく頑張った!1,2,3,ヴィクトリー!


2008年8月5日(火曜日)

夏休み課題図書(1)

カテゴリー: - リーダー @ 23時14分40秒

2週間ぶりになっちまって悪かったな。みんな、相変わらず読書力鍛えてるか?

まあこんな時期は暑くて本どころじゃないかもしれないけど、長い休みが取れる夏だからこそ、読書には最適じゃないか?
子供の頃は宿題で感想文書かなきゃいけないってんで”課題図書”なんてのをイヤイヤ読んだりしただろ?

まあ課題図書って、意外と読書経験のきっかけにはならない気がするんだけど、夏休みが読書の良い機会になるのは確かだよな。

そこで、今月はブンコキャンプ独自の夏休み課題図書を選んでみるぞ。基準は、

1,学校生活など、子供や若者をとりあげていること。

2,手に入りやすくて読みやすいこと

3,最長でもお盆3日間くらいで読み終わるもの

4,オレの好みは抜きにして、誰でも面白く読めそうなもの

まあ4はここじゃいつもそうだけど、何で改めて条件に挙げるかっていうと、小学生なんかの課題図書って、意外と選択者の好み(悪くすると選択者の思想)が反映されていることがあるんだ。

ここじゃそういうのは避けて、誰もが認める名作で、しかも今大人の人も何となく将来の希望が湧くような、そんな作品を選んでみるつもりだ。

まず最初はこれだ。

飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)
丘沢 静也
4334751059

日本じゃあんまり知られてないけど、世界に名だたる名作だし読みやすいから、これに関しては無理しても読むことを勧めるな。
きっと登場人物たちを一生忘れられなくなるはずだ。

今回は課題図書だから、実際に読むことを優先してもらうぞ。
この作品は、まあ読みゃわかるよ。どんな作品なのかはな。
そしてブンコキャンプの課題図書に選んだ理由もわかってもらえるはずだ。

だからこっちからあんまりクドクド解説するのはやめておくけど、作者に関する基本的なデータだけは押さえておこう。

作者であるエーリッヒ・ケストナーは、ドイツの国民的作家だ。
ちょうどナチスドイツ全盛の頃に活躍していて、ユダヤ人の血を引いている上に、ファシズムを批判したりしたもんだから、著書が焚書になっちまうんだ。
焚書ってのは、特定の権力者や団体によって本が焼かれちまうことだよ。言論封殺の一つの手段だな。日本人であるオレたちには信じられないけど、昔のヨーロッパなんかじゃそんなことがあったんだ。今でも世界のどっかであるかもな。

その頃のドイツじゃ、ユダヤ系芸術家の多くは亡命したんだ。
当然だよな。弾圧された挙げ句、下手すりゃ殺されちまうんだから。
だけど、ケストナーは違った。「オレはドイツ国民だから」って言って、あくまでドイツに留まったんだ。

それで、自分の本が焚書になって彼がどうしたかっていうと、何とその焼かれてる現場を見物しに行ったんだな。
呑気というか大胆というか、何か笑っちまうけど、その当時はある程度命がけの行動だったはずだ。

これは決して他人事じゃなくて、焚書みたいな事は未来に起こる問題かも知れないし、今だって公権力じゃないから気づきにくいだけで、昔よりもっと巧妙に、もっと陰湿な形で何らかの権力に自由な発言を制限されて生きているのかも知れないよ。

一つの権力が暴発しちまったときに良心的な作家あるいは人間はどうしたらいいか、ケストナーという作家の人生にはそのヒントが隠されているかも知れないな。

まあそういった作家についての情報はインターネットでも得られるけど、そういう人が書いた本からどういう感動が得られるか、ってことは本を読まなきゃわからない。

そうやって人生についての何かを蓄えていければ、課題図書としての役割も果たせるってもんだよな。

みんな!最後までよく頑張った!1,2,3,ヴィクトリー!


2008年7月16日(水曜日)

どうせなら一石投じてから死ね

カテゴリー: - リーダー @ 23時44分55秒

間じゃ最近、連日続く暑さやiphone発売なんかのニュースに沸いてたよな。
そんな中、ブックリーダーにとっちゃそれら全てが吹っ飛ぶような大事件が起こったんだ。

7月14日に、国語学者の大野晋氏が亡くなった。

大野氏は日本語研究に大きく幅広い功績を残した一流の学者だった。
その業績に対して、死に際したマスコミの小さい扱いはいかにも残念だったよ。

今回はその仕事を少しでも知ってもらうため、ってこともあるんだけど、ブンコとしても面白いものだから、今日はこの機会に番外編として取り上げてみたいと思うぞ。

日本語はどこからきたのか―ことばと文明のつながりを考える (中公文庫)
大野 晋
4122035376

「日本語練習帳」っていうのがベストセラーになったから、一般にはそっちの方が良く知られてるんだけど、それは新書だから、ブンコであるこちらを取り上げるぞ。

まあ、読んでどっちが驚くかっていったらこっちの方だ。
何ていったってこの本には「日本語は日本が起源じゃない」って書かれてるんだからな。

もっと詳しく言うと、この本には「日本語の元は、インド南部で話されていた(いる)タミル語」っていうことが書かれているんだ。
俗に言う"日本語タミル語起源説"だな。

タミルっていうのを親しみやすい例で説明すると、インド映画で「ムトゥ 踊るマハラジャ」ってあるだろ?

ムトゥ 踊るマハラジャ
K・S・ラビクマール
B00005FPOM

物凄く面白い映画で俺も大好きなんだけど、この映画で使われている言葉がタミル語だ。
だからこれら一連のシリーズは「タミル映画」って呼ばれてる。
そんな風に分けるだけあって、タミルは同じインドでも、北のほうのインドとは文化がかなり違うんだよ。

そんなタミルのタミル語が、どうして日本語の元だと大野氏が考えたかっていうと、これが日本語と驚くほど似てるんだよ。
文法とかそんなレベルじゃない。まあ文法も似てるんだけど、それだけじゃなくて、物の名前なんかもソックリなんだ。
どれくらい似てるかはブンコに当たってほしいけど、言葉だけじゃなくて例えば祭りなんかも、思わずこれ日本の祭りなんじゃないか、って思っちまうくらい共通点がある。

だがな、当然のことだけど、この説は他の国語学者から集中非難を浴びた。
大変な論争になったんだよ。かなり画期的な説だったからな。

事の真偽はオレなんかにはわからない。ただオレが思うのは、世の中ってのは学問の世界に限らず、保守的なもんだ。

生きてるとみんな自分の立場ってもんが自然と出来てきて、いつのまにかそれを守るのに精一杯になっちまう。
学問なんて特にそうで、本当は真理を得るための手段とか方法論に過ぎなかったものが、アイデンティティーにまでなっちまうんだな。
人は自我と化したものを脅かされるのを異常に嫌うもんだ。
それが何であれ、現状を維持しようとするんだよ。
だからただの反対意見じゃなくて反発になったり、悪くすると攻撃にまでエスカレートしちまう。
人間って弱いもんで、その弱い人間が集まってんのが人間社会なんだよな。

そんな中にあって、何かに一石を投じるっていうのは、相当な勇気を伴うもんなんだよ。
そう、今"一石を投じる"って言ったけど、優れた書物ってのは、優れた人が一石を投じた軌跡でもあるんだ。
それを読むこともまた、自分に一石を投じることになるんだよ。

だからみんなも、ブックリードを通じて、己に一石を投じ続けて欲しい。
ブンコキャンプがその手助けになれば言うことはないな。

みんな!最後まで良く頑張った!1,2,3,ヴィクトリー!


2008年7月2日(水曜日)

あ!

カテゴリー: - リーダー @ 23時47分19秒

回罪と罰(罪&罰)をとりあげたとき、「文学史上の名作とか深く考えずに、ミステリーとして読むこと」って言ったけど、そのわりにはミステリーをあまり鍛えてないことに気づいたんだ。

体鍛えるときも、フォームを整えるために基礎的で単純なトレーニングに立ち返ったりするだろ?それと同じで、たまに必要に応じて今回みたいにミステリーも取り上げていくからな。ついてこい!

亜愛一郎の狼狽 (創元推理文庫)
泡坂 妻夫
4488402143

自己批判ドットコムの読者で、というか普段小演劇を観ているような層(普通の若者〜40代くらいの層ってことだな)で、このブンコを知っているやつはそう多くないだろうな。

そんな、日本ミステリーの知られざる名作がこの「亜愛一郎」シリーズだ!
シリーズって言ったけど、これは短編集で、この「狼狽」を含めて3冊出てる。
面白さの質は変わらないからどれからでもいいけど、まあ普通名探偵「亜愛一郎」が初登場するこの「狼狽」から読むだろうな。

この文庫の読みどころは、ズバリ「すごくミステリーらしい」ってところだ。
言い換えると「ミステリーの面白さがすべて詰まってる」。

書いてある文章全部が伏線なんじゃないか、ってくらい巧妙に伏線が張り巡らせてあって、しかもそれが予想もしないところに収束されていく。
その上その手際が何ともさりげないんだ。
どうだ?これこそ"ミステリー"だろ?
これこそミステリーではあるんだけど、これらは、"優れた文学"の要素でもあるんだよ。

でも、読んでみるとそんなオーソドックスなミステリーって感じはしないんだ。
むしろミステリーとしては変わった読後感がある。
それは、例えば名探偵の名前"亜愛一郎(あ・あいいちろう)"って名前は、「もし名探偵名鑑に載ったときに絶対一番最初にくるように」って考えられた名前だ、っていうような、何ともいえないユーモア感覚にある。

そう、この亜愛一郎シリーズは、ユーモアと謎解きが融合された最良の例と言えるだろうな。
そういうことを踏まえて読むと、この作品がいかによくできたミステリーか良くわかる。

オレは今まで、ミステリーとか読書好きの人で、この亜愛一郎シリーズをつまらない、と言った人にお目にかかったことがない。
問題は、読んだ、って人にお目にかかった絶対数そのものが少ないことだな。
その辺の町の本屋に売ってるようなブンコじゃないけど、見かけたらまあ読んでみてくれ。
面白いミステリーを読む、ってことほど読書力を鍛える近道はないんだからな!

みんな!最後まで良くがんばった!1,2,3,ヴィクトリー!


2008年6月26日(木曜日)

罪&罰

カテゴリー: - リーダー @ 23時50分48秒

れまで3ヶ月くらい読書の基礎体力をつけることに費やしてきたけど、そろそろ読書力鍛錬の頂点とも言えるドストエフスキーの四大長編に手をつけていきたいと思うぞ。

まず取り上げるのは、やっぱり最初に読むべきドストエフスキーである「罪と罰(罪&罰)」だ!

罪と罰 (上巻) (新潮文庫)
ドストエフスキー
4102010211

ドストエフスキーについては、ブックリーダーが一生かけて取り組んでも良いくらいの題材だから、鍛える必然性を感じたときに必要に応じて何回でも取り上げていくからついて来い!

今、いちいちドストエフスキーって書くのがまどろっこしくなったんで、これからは"ドスト"って略させてもらうぞ。まあ、ミスドみたいなもんだな。

今回何で数あるドストの中から特に罪と罰を取り上げるかって言うと、最近ちょうど秋葉原の殺人と、朝日新聞の"死に神"発言、あとグリーンピースの鯨肉泥棒っていう、3つの凶悪事件が立て続けに起こったよな。
これらは3つとも、人間社会における"罪と罰"を考えさせられる事件だと思わないか?

このように、オレたちは罪の大きさと刑罰の重さとの関係性を改めて感じさせられる事件に直面すると「何かいかにもイマっぽい事件だな」と感じる。
そういった"現代を象徴する事件"のありようを最初に綿密に描いた文学が「罪と罰」なんだよ。

例えば上に挙げた3つの事件を小説にしてみたらどうか想像してみて欲しいんだ。
どうも面白くなりそうはないよな?結果のひどさに対して、動機とか犯人の思想そのものはどれもマヌケだからな。

でも、罪と罰の主人公ラスコーリニコフだって、そりゃ秋葉原の犯人や朝日新聞の論説委員なんかに比べりゃ頭はいいけど、その思想は常識的に考えたらどこか間が抜けている。
ドストのすごいところは、そういうあんまり褒められた人物ではない人々、取るに足らない人々を執拗に綿密に描くことで面白く読ませてしまうところなんだよ。

その結果、作品のテーマを−罪と罰だったらそのものズバリ罪と罰がテーマだけど−くっきりと浮かび上がらせる。
これは、表現できる時間に制限の無い小説にしか出来ないことだ。

これまで日本でも、ちょうど最近死刑になったけど宮崎勤の事件とか、オウム真理教の事件なんかのいかにも"現代を象徴する事件"が起こる度に「罪と罰」が見直され、事件を考えるヒントにされてきた。

それは、現代社会における"罪と罰"の関係について解明するきっかけにできる情報がこの世にはほとんど無いからなんだよ。
それがどうして罪と罰にはできるかっていったら、上で言ったような文学の可能性が最大限に利用されているからだろうな。
だから社会に生きる動物である人間は本を読む必要があるし、その中でもドストは必読、ってことなんだよ。

でも、だからこそ読むのは難しいぞ。サブカルチャーとは対極にあるものだから、それなりの忍耐は覚悟してくれ。
ただ、もともとこれ以上面白いもんはないんだから、コツさえ掴めば面白く読めるんだ。

それは、文学史上の名作とか深く考えずに、ミステリーとして読むことだ。
だからこのブンコキャンプでは最初、ミステリーから取り上げたんだ。
まずはミステリーの読み方に慣れちまうことが、ドストに入りやすくする最大のコツだと思うぜ!

最後まで良く頑張った!1,2,3,ヴィクトリー!


2008年6月18日(水曜日)

人は何故本を読むのか

カテゴリー: - リーダー @ 14時04分13秒

んな、ここはどこだ?そう、ブンコキャンプだ!
だからこれまでは、四の五の言わずにとにかく読書自体に慣れるよう、実践的なカリキュラムを組んできたつもりだ。

だがな、みんな心の中じゃ何となく感じてるんじゃないのか?
「本って、何で読まなきゃいけないの?」ってな。

ただでさえこのインターネット全盛の世の中だ。パソコンを開きゃ情報はたくさん入ってくるわけだし、わざわざ本なんか買って読まなくったって知識は得られるんじゃないか、そう思っても無理は無いだろうな。

だがな、そもそも情報と知識は、全然違うものだ。
そうだな、例えるなら、ビタミンとかアミノ酸とかの栄養が情報で、健康な身体が知識、って感じかな。
それだけだとただの羅列である情報を、いかに血肉である知識にするか、これは今も昔もほとんど書物でしか出来ないんだよ。

たまには文学に慣れるのを離れて、何で知識は本じゃなきゃ得られないか、そもそも人はどうして本を読むのか、そういうことを鍛えるカリキュラムも必要だろうな。

今回は番外編として、こういう本を取り上げるぞ。

本を読む本 (講談社学術文庫)
Mortimer J. Adler Charles Van Doren 外山 滋比古
4061592998

そのものズバリだよな。タイトルがわかりやすくていいじゃないか。

本来はデキるビジネスマンなんかが、効率の良い本の読み方を求めて買う本に思われてるんだけど、これほど「人はどうして読書をするのか」に真正面から取り組んだ本は無いといえるだろうな。

この本を読んでオレが得た結論だけ大まかに言うぞ。
人が何で本を読むか、本を読むのが何で大事かって言うと、

「本が、誰かによって構成された手に持てる物体」

だからなんだよ。そういうものからじゃないと人は"知識"を得られないんだ。
何でそうなのかは、まあ、読んでみてくれ。
こういう本を読んでみないと、「人は何で本を読むのか」って知識は得られないんだからな!

ただひとつ、問題があるとすれば、黙っててもこの本を選んで読むような人は、そもそもかなりの読書家に違いない、ってことだな。
そうじゃなくったって頑張って読めば、人は何で読書をしなきゃいけないのか、その真実の一端が明らかになると思うぞ。

最後まで良く頑張った!1,2,3,ヴィクトリー!


2008年6月5日(木曜日)

あの虫になっちゃうヤツ

カテゴリー: - リーダー @ 20時10分19秒

んな、読書力を鍛えたいか?…そうだろう、ここはブンコキャンプだからな。
これまでは短期間で効果を発揮するため、いわゆる古典ばかりをトレーニングしてきた。

そうなると、みんなが気になるのは「今の小説はトレーニングしないの?」ってことだろうな。

何で今の小説をこれまでトレーニングしてこなかったかっていうと理由は簡単だ。
今の小説が読みたかったら、それぞれ何でも好きなのを読めばいいからだよ。
本屋に行きゃあ今売れてるブンコは並んでるんだから、そこから選べばいい。

ただ、好きなのを読むってのは単なる趣味に近くなる。
いくらカラオケで歌っても歌そのものが上手くなるわけじゃないのと同じで、読書力を鍛える、って観点からいやあかなり弱い負荷になっちまうんだ。

だが、ここはどこだ?そう!ブンコキャンプだ

だから今日は「文学的には"今"の作品で、しかも読みやすくてトレーニングになる」というテーマでブンコを選択してみたぜ。

変身 (新潮文庫)
カフカ
4102071016

「ああ、あの、起きたら虫になってるヤツ?」ってみんなの心の声が聞こえてくるようだ。
そう、その虫になっちゃってるヤツだけど、みんなこれをむしろ古典文学だと考えてるんじゃないか?
確かに、1915年くらいの作品だから、大体100年位前だよな。
それが新しいなんて、妙な話だと思っちまうかもな。

でもな、実はこれは、今一番新しい文学作品の始まりの作品なんだよ。

発表当時、同時代の小説家とか学者なんかは、これを読んでひっくり返っちまったんだ。
「こんな書き方があったのか!」ってな。
その感じを物凄く簡単にいやあ「絶対にありそうもないことを、いかにもありそうな感じに書く」ってことだ。
カフカはこの作品で「家の中で長男が虫になってしまった様子を、実際に起こったこととして書いた」んだ。

今考えるとそんなに画期的にも思えないだろうけど、19世紀まではそんな書き方をした文学は無かったんだ。
ある意味、カフカが20世紀以降の文学を始めたんだよ。あくまである意味だけどな。

それ以来、特に純文学といわれるような分野において、カフカがやったこと以上の変化は起こってないんだ。
だから、"現在一番新しい文学作品"の始まりなんだよな。

始まりだから、当然その後に続いていて、今現役の作家でカフカの影響を受けている作家は多い。
日本にもいるだろ?そのものズバリ「海辺のカフカ」って小説書いてる作家がいるからな。

そういう色々なことを考えずに今普通に読んで本当に面白いかっていうと、19世紀の古典なんかと違って、正直好みに左右されると思う。
でも「変身」くらいは短いし買っても安いからとりあえず読んでおけば、今のベストセラー作家を理解するにも、今の文学の流れを理解するにも役立つと思うぜ。

最後まで良く頑張った!1,2,3,ヴィクトリー!


2008年5月28日(水曜日)

マンガも読書のトレーニングマシーン

カテゴリー: - リーダー @ 21時16分27秒

日は『源氏物語』を取り上げたい…なんていうと、「読書そのものだって今鍛えてるところなのに、古文なんか読みたくない!」なんて悲鳴をあげるヤツもいるかもな。

何もいきなり原文読ませようってんじゃないぜ。そんなの、オレだって読んだことないんだからな。
それも当然で、『源氏物語』は、普通の日本人は読めないからなんだよ。

今みんなが普通に日本語として読める最初の文学は『徒然草』だっていわれてるから、鎌倉時代のことだ。
その前までは今の日本語とだいぶ違うんだよ。まあ、日本語ではあるんだけどな。
だから、平安時代に書かれた『源氏物語』が読めないのは当然のことなんだ。

じゃあみんなどうやって内容を知るかっていうと、与謝野晶子とか瀬戸内寂聴(瀬戸内ジャクソン)なんかの現代語訳があるから、最初はそれを読むわけだ。

源氏物語 巻一 (講談社文庫)
瀬戸内 寂聴
4062756331

ただ、それだって難しいぜ。世界最初の長編文学って呼ばれてるくらいだから長いし、その分登場人物も多い。
今の人と名前の呼び方なんかも違うし、親戚同士で恋人になったり、妻が一人じゃなかったりっていう今じゃありえない人間関係があるから、なかなか相関関係が把握しにくい。
そもそも、舞台である平安時代の京都の暮らしなんて、想像するのに一苦労だろう?

でも安心してくれ。これらの問題を一挙に解決してくれるブンコがあるんだ!

あさきゆめみし―源氏物語 (1) (講談社漫画文庫)
大和 和紀
4063600505

世代によっては読んだことあるかもしれないな。少女マンガの巨匠・大和和紀の『あさきゆめみし』だ!

よく「マンガを読むとバカになる」なんていうから、マンガは読書力トレーニングにマイナスになると考えちまう人もいるかもしれない。
確かにマンガしか読まなかったらバカになるかもしれないけど、想像力の補強に映画を活用するように、マンガだって読書のサブテキストとして大いに活用させてもらわなくちゃな。

このマンガは、受験勉強の時に塾の先生から勧められたりすることもあってくらい、原作に忠実だし、良く調べて描かれてるし、何よりマンガとして最高に面白いんだ。

古典は、マンガででも何でもまずその内容に触れることが重要なんだよ。全然触れないで一生を終わるよりはましだろ?
これだったらその上読んで面白いんだから最高だよな。

もしこれで『源氏物語』に興味がわいたら、少しずつ原文に触れるようにすればいいんだ。そのときはもう内容とその面白さはわかってるわけだからな。

読書力を鍛える、という観点から言えば、古典文学は最高のトレーニングだ。
ここから『源氏物語』の面白さを知り、さらに古典全体に興味が沸いてくればトレーニングとしては最高だな。

最後まで良く頑張った!1,2,3,ヴィクトリー!


2008年5月22日(木曜日)

真の名作文学を求めて

トレも慣れてくると、より効率の良いトレーニングを追及するようになるよな。

ブックリーダーもそれと同じで、慣れてくるとより効率的な読書をしたいと思うようになるんだ。

そんな感じで、ブックリーダーたちはつい名作と言われる文学ばかりを選んで読むようになっちまうんだけど、でも、良く考えてみると、名作文学って一体何だろうな?

今一般に誰もが名作って呼ぶのは、大体19世紀の文豪だ。そのあたりが近代文学の古典になってるんだよな。
イギリスだったらディケンズとか、ロシアだったらドストエフスキーなんかがいる。
で、彼らに共通するのは何かっていったら、その時代にその国の流行作家だったことだろうな。

ディケンズにしてもドストエフスキーにしても、今やインテリしか読まない代表的な作家だろうけど、発表当時の学者や知識人には「あんなの三文小説だ」なんて罵倒されてたんだよ。
まあ、知識人なんてのはいつの時代もそんなもんかも知れないけど、例えばドストエフスキーなんて、土方のおとっつあんとか井戸端のおばちゃんなんかが貪るように読んでたんだ。
今だったらドストエフスキーなんかに見向きもしないような人たちだよな。

俺が何を言いたいかっていうと、100年後も残る本当の名作ってそういうものかもしれない、ってことだ。
100年後の人たちに古典として読みつがれるのは、今知識人だけにありがたがられてるような文学じゃなくて、ごく普通の社会人が普通に面白がって読んでる作品である可能性のほうが高いかもしれないんだよ。

もうひとつ、ディケンズとかドストエフスキーとかに共通する要素は何かっていうと、それはユーモアだ。
ユーモアがあるからこそ、市井の人々が面白がって読むし、笑いってやつは本質的にはいつの世も変わらないんだよ。

俺はみんなのトレーニングのために、現代の作家で、上の条件を満たした作品を探したよ。血まなこになってな。
今のところ、この作家しかいないような気がしてる。

もものかんづめ (集英社文庫)
さくら ももこ
408747299X

もしかしたら俺よりみんなの方が読んでるんじゃないか?「ちびまる子ちゃん」でお馴染み漫画家、さくらももこのエッセイ群だよ。
ちょっと意外、いや、かなり意外だったか?今までみたいに小説じゃないしな。

小説も色々探してみたんだけど、ベストセラー作家だと大体ユーモアが足りなかったりして、全く見つからなかったんだ。
これは今に限ったことじゃないけど、ユーモアの要素が強い作品はあんまり大衆に広く受け入れられないって言われているから、笑えて売れてる、っていったら相当な才能で、この二つの条件を兼ね備えた作家って彼女くらいしか見当たらなかったんだよ。

小説じゃないが、エッセイだって立派な文学だぞ。例えば、清少納言の「枕草子」だって昔の人のエッセイだしな。
エッセイだから文章をより気軽に楽しめるんだけど、夏目(サマーアイ)漱石を髣髴とさせるような軽妙さと巧さがあるんだ。

そう、さくらももこってのは、清少納言と夏目漱石を足して2で割った現代版みたいな存在だよな。
文学ってもっと気楽なもんだってことを、彼女のエッセイを読んで笑いながら学び、そのうえで本そのものにも親しんでもらえればトレーニングとしては理想だな。

みんな、最後まで良く頑張った!1,2,3,ヴィクトリー!


2008年5月8日(木曜日)

そこに山があるから

んながこれからダイエットのためにトレーニングプログラムを組もうってときに、「これは絶対やらなきゃいけない」ってトレーニングはそうそう無いと思う。
有酸素運動だったら必要な強度によってジョギングかウォーキングかどちらかにするだろうし、筋トレだったら部位によって変わったり、状況によって千差万別なはずだ。

でも、みんながこれから3冊組の"日本文学全集"を編集したとしたら、「坊っちゃん」と「吾輩は猫である」は必ず入れるだろうな。

吾輩は猫である (角川文庫)
夏目 漱石
4041001013

例えそれが1冊組だったとしても夏目(サマーアイ)漱石はあと2作品くらい収録することになるかもしれないけど、「それから」か「こころ」か、その辺りで意見が分かれるだろう。
でも坊っちゃんと猫は絶対に入るんだよ。

この2作は、名作であることに誰も異論を挟まないケタ違いの名作だ。ましてや猫は漱石のデビュー作だから文学としての重要性はなおさらだ。

だけどあえて言わせてもらうぜ。こいつはいきなり読んじゃ駄目だ。

何故かって、筋トレ初心者が100キロのバーベル上げたら身体をおかしくしちまうだろ?
それと同じで、読書初心者がいきなり読むには負荷が大きすぎるんだよ。

ここでちょっと注意をしておこう。これから、読書トレーニングする人たちの事を、ボディビルダーに倣ってブックリーダー、あるいはブンコリーダーって呼ぶことにするけど、ブックリーダーたちの間で"猫"って言ったらその辺歩いてる猫のことじゃなくて「吾輩は猫である」のことだから覚えておいた方がいいぜ!

漱石のデビュー作っていったら、実質的には日本の近代小説、最初の作品と言ってもいい。それなのに、この猫ときたら、とんでもない実験小説なんだよ。

虚無への供物プログラムのとき、虚無への供物は、ミステリーでありながら、ミステリーというジャンルとの関係が複雑、って表現したよな。
猫はもっと凄くて、小説でありながら、小説というジャンルとの関係が複雑なんだよ。
そんな作品、もしかしたらこの先永遠に現れないかもしれないな。

それなのに、猫は大衆に受け入れられ、ヒットしたんだ。その謎を解く鍵は猫が書かれた時代と背景にある。

それまで小説を書いたことが無かった漱石は、俳人・高浜虚子に勧められて猫を書き、彼らが集っていたインテリたちの会合で朗読して絶賛を浴びた。
つまり、漱石は猫を、文学青年とかインテリとかに受けるように、つまり一部の人しか理解出来なくても良いつもりで書いたんだろう。

それは新人らしい若々しさともいえるけど、漱石は実年齢的にはすでに若くなかった。40歳近かったんだ。顔だってそんなにいい男じゃない。
だから、文章そのものは熟練された技が光っている。

今、小説家は逆に、若くないとデビューしにくい時代だ。それに、猫みたいな読みにくい作品は売れないだろう。他にも楽しい娯楽は溢れかえっているんだからな。
さっき猫のような作品はこの先永遠に現れないかもしれない、って言ったけど、理由は大体この辺にあるだろうな。
要するに、斬新さと熟練をあわせ持った作品がどんどん出にくい時代になってるってことだよな。

さらにやっかいなことに、猫には作品全体にユーモアと皮肉が溢れてるんだ。文学的にはそれらがさらに価値を高めてるんだけど、良く考えてみてくれ。斬新、熟練、非イケメン、ユーモア、皮肉…どうだ、今出たら絶対売れないだろ?

そうだな、猫は例えるなら富士山みたいなもんだ。登るのはこの上なく過酷で、それこそ一生に一度登れるか登れないか、って山だけど、山そのものの価値を疑う人は誰もいない。日本の至るところから見ることが出来る日本を代表する山だけど、それに登ることは一つの試練なんだ。

「カラマーゾフの兄弟」なんかがエベレストだとしたら、猫を読むことは富士山に登るようなもんだ。
その体験自体が、一生忘れられない思い出になるんだよ。

みんな、最後まで良く頑張った!1,2,3,ヴィクトリー!


2008年4月29日(火曜日)

プリンス・オブ・日本文学

1、文章が巧い
2、読みやすくて短い
3、テーマが深い
4、それなりに漢字や難しい言い回しの勉強になる

もし仮に読書嫌いを克服する完璧なトレーニングプログラムを組め、って言われたら、上の4つの要素を兼ね備えた作品をみんなに読ませるだろうな。

でもそんないい所ばっかりの作家が調子良く存在するのか、って思うだろ?
例えば2と3を両立するなんて、トレーニングで言えばボディービルダーのような肉体に柔軟な筋肉を具えるようなもんで、そんなの一人の人間に出来んのか、って思っちまうよな。

でもいたんだよそんな信じられないような作家が。しかも日本人に。

それが、自殺でお馴染み、芥川龍之介(リバードラゴンだ!

蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)
芥川 龍之介
4101025037

みんなも"蜘蛛の糸"あたりは読んだことあるんじゃないか?大体の教科書に載ってたからな。

国語の教科書は言ってみれば、子供でも身体を壊さないように編まれたトレーニングプログラムみたいなもんだ。
だから当然、読書力の基礎のまた基礎を身につけさせるためのもんだと思って間違いないんだけど、何で自殺はするは女関係は汚いわで子供の教育に悪そうな芥川の作品が多く採用されるかってその理由は、テーマ構成の巧みさにあるんだ。

作品を深くしたり考えさせる物にする為には、テーマが必要、ってのはわかるよな?
例えば蜘蛛の糸だったら、思いやりの大切さだとか、自制心の大切さなんかを考えさせられる。
多分芥川もそれらがテーマだと思って書いたんだろう。

でも、それをただ、誰かのセリフとして「思いやりは大切だよ」なんて書いたところで、そんなの誰の胸にも響かないだろ?
その辺りが作家の腕の見せ所で、ストーリーや登場人物の行動、事件の配置の仕方なんかを工夫して、最終的に作品全体でテーマを形作るように仕込むんだ。これがテーマ構成、ってことだ。

長々とテーマ構成のことなんて説明しちまったけど、これは主に作家側の考える問題だから用語としては覚えなくてもいいぞ。

要するに、人が何でわざわざ文学作品を読むかっていうと、その作品のテーマを汲み取って、知識として蓄えて、それを複雑な人間社会の中でより良く生きるために活用する、って一面もあるからなんだよ。

芥川の作品は、その大事なテーマが、すごく普遍的で、しかもわかりやすい。
それでいて、説教臭かったり教訓めいたりすることは無いんだ。
その辺りが、テーマ構成の巧みさだよな。

それが短い作品の中に詰まっているから、入門編として最高にお勧め、っていうか、もしこれから日本文学を本格的に読もうっていうなら、入門編はこれしかない、ってくらいに言えるだろうな。

他に何か好きな日本人作家を読んでるならそれをメインに読めばいいけど、最低でも漱石と芥川の代表作くらいは読んでおきたいところだよな。
芥川の作品なんて、一つ数十分で読めちまうんだからな。
蜘蛛の糸・杜子春」に入ってる"蜜柑"なんてたったの5ページだよ!
それだって"芥川龍之介の代表作一作読んだ"ってことになるんだからな。

夏目漱石がキング・オブ・日本文学なら、芥川はさしずめプリンス・オブ・日本文学だろうな。
実際、芥川は漱石の最後の弟子なんだ。こういう、豆知識みたいなのも多少は覚えておいた方がいいぜ!これからの読書力向上に絶対に役立つからな!

みんな!最後まで良く頑張った!1,2,3,ヴィクトリー!


2008年4月22日(火曜日)

キング・オブ・日本文学

ざ読書をしよう、って決意しても、まず何から読んだらいいのかわからない、ってことは結構あるだろう。

そんなとき本屋を覗いてみたら、出版社の文庫キャンペーンが展開されてた。
平積みになってるそれらの中から何となく初めの一冊を選ぶってことは多いと思う。

そんな100冊キャンペーンって、どんなのが選ばれてるんだろうな?
各社別にリンクしてみたから参考にしてくれ。これもトレーニングの一環だぜ!

新潮文庫の100冊

角川文庫 夏の100冊

集英社文庫 ナツイチ 夏の一冊

もちろん各社で違った作品を選んでいるんだけど、実はこれを作家別に見てみると共通したある傾向があるんだ。それはどの出版社も、

名作を残した過去の文豪と、沢山作品を書いてる現代の流行作家

を選びがちってことだ。

その理由だけど、後者の方は容易に想像つくよな?
出版社だって企業だ。売れたら商売になりそうな作家の作品をプッシュするのはビジネスとして当然のことだ。

じゃあ前者はどうかっていうと、そこはやっぱり出版社の人は本のプロだから、読書好きとしての良心もあるんだよ。
誰もが認める名作を選ばなかったら、キャンペーンとしての箔もつかないしな。

だから、名作の方は、選定してる人が「本当に読んで欲しい」って思ってる可能性が高いって事だよな。

中には全ての出版社で選ばれてる作家もいる。そんな作家の代表作はまず必読書ってことになる。
筋トレやるのに、腹筋運動しないヤツなんかいないだろ?それと同じくらい重要って事だよな。

今週から、各社100冊キャンペーンで共通して選ばれてる作品を"基本書"と認定して取り上げ、基本トレーニングを行っていくぞ。ついてこい!

坊っちゃん (新潮文庫)
夏目 漱石
410101003X

字が読める日本人で、これを一行も読んだことない、ってヤツはいないんじゃないか?
日本を代表する文豪の代表作、すなわちキング・オブ・日本文学

それがこの夏目(サマーアイ)漱石の「坊っちゃん」だ!

それでいて短くて読みやすいのも最大の特徴だ。調子がよければ一晩で、普通に読んでも1〜2日で読み終わっちまうだろうな。
どうせいつか読むんだから、最初に読んじまったほうがいいと思うぞ!

とはいっても、やっぱり明治時代の作品だ。
時代背景なんかの面でのとっつきにくさを乗り越えるには、文学史上の名作だとか考えずに、マンガとかドラマで良くある熱血教師ものの元祖だと考えればいい。

坊っちゃんが凄いのは、それでいて文学としての奥深さがある、ってことなんだ。
坊っちゃんにあって今の熱血教師ものに無いものは何か考えてみる、それが、文学とは何か、ってことを実感する近道になるってことだな。

みんな!最後まで良く頑張った!1,2,3,ヴィクトリー!


2008年4月15日(火曜日)

高級ワインのような

カテゴリー: - リーダー @ 22時26分40秒

回で基礎プログラムとしてのミステリーはひとまず終わりにしよう。みんなここまでよく頑張ってきた!

次週からは新たな基礎トレーニング「新潮文庫の100冊」編に入りたい。
だがその前に今回は、これまでのまとめと次回へのつなぎの意味も含めて、”LEADER BUNKOの100冊“を、ミステリーから取り上げるぞ。

この"LEADER BUNKOの100冊"は以降も機会をみてセレクトしていくつもりだから読書力向上に役立てて欲しい。
新潮文庫の100冊のような企画だと、その出版社で出してる名作だったり、売れてる本だったりを収録してるんだけど、LEADER BUNKOの100冊に関してはこれさえ読めりゃ何だって読める、って本を世の読書好きの評価も視野に入れつつ選ぶつもりだ。
筋トレで例えれば、理想の体系を見せて、こうなりたいだろ?ってモチベーションを高めさせるようなもんだな。

その分これまでみたいな初心者向けの本じゃないけど、とりあえず難解でも評価の高い本をいきなり読んじまうのもトレーニングとしては一つの方法だ。

負荷は確かに高いけど、その分見返りは大きいからな!

前にも言ったけど、今すぐ読まなくてもいいから、著者名と作品名だけでも何となく覚えておいて欲しい。後で絶対役に立つからな!ついてこい!

虚無への供物〈上〉 (講談社文庫)
中井 英夫
406273995X

虚無への供物〈下〉 (講談社文庫)
中井 英夫
4062739968

これは何が読み甲斐があるかって、まず単純に長い。
最近上下分冊で出たけど、以前は一冊物だったから、見た目にも難攻不落、って感じだったんだ。

あとこの本が難物なのは、様々な学問的なウンチクがこれでもか、ってくらい盛り込まれてるところだ。そのあたりは知識人って言える位の人じゃないと、ほとんど何が何だかわからないかもしれないな。

それと、ただのミステリーじゃないところ。ミステリーなのにただのミステリーじゃない、って変な言い草だな。
ちょっと言い直すと、虚無への供物は、ミステリーでありながら、ミステリーというジャンルとの関係が複雑なんだ…みんな、ついてきてるか?

この本については何をどう解説しても、本の内容と同じくらい複雑になっちまう。
じゃあ何でそんな難しい本を読まなきゃいけないんだ、って疑問が当然沸くよな。
それは、そういうことを含めて、これほど読書という知的欲求を満たしてくれる本はそうそう無いからなんだ。

いくら高級なワインだってこっちが飲みつけて無かったりして魅力がわかんなかったら台無しだろ?
虚無への供物は、言ってみりゃ一生に一度飲めるかっていうような上等なワインみたいなもんだ。
一流の好事家になったつもりで、一生に一度は味わってみてほしい。

みんな、最後まで良く頑張った!1、2、3、ヴィクトリー!


2008年4月7日(月曜日)

スラスラ読め!

カテゴリー: - リーダー @ 17時27分31秒

積みになってたから面白そうと思って買った本。
でもいくら読んでも頭の中にスンナリ入ってこない。するとみんな、
「アタシにはこの本が読める知性がないんだわ」なんて決め付けてるんじゃないか?

ちょっと待ってくれ、その小説、本当に読みづらいのかもしれないぜ?

意外なようだけど、作家にとっちゃ、読みづらい文章を書くほうが簡単なんだ。
読みづらい文章しか書けないのにプロの作家なんておかしな話だと思うだろ?
それは、読みやすい文章を書くのは一般に思われてるよりずっと難しいからなんだ。

読みづらい文章って一言でいうけど、そうなっちまうのには原因がある。

  ・句読点の場所が適当じゃない
  ・改行の位置が適当じゃない
  ・表記に"ゆれ"がある
  ・主語と述語が対応していない
  ・簡単に言い換えられるのに難しい言葉を使っていて、その回数が多い

ちょっと思いつくだけでもこれだけある。ちょっとでもこれだけの注意ポイントがあるんだから、少なくとも作家が、読者になるよりは大変な訓練が必要だ、ってわかるだろう。
だからこそ、それが出来る作家はプロでも案外少ないって事なんだ。

その上、海外物だと訳の巧いヘタの問題がある。
人によっては、訳者の名前で読む小説決める人もいるくらいだ。それくらい、読者にとっちゃ読みやすさって重要ってことだよな!

読みやすくて芸術性が高いのが一番いい小説だろう。
そういうのを名作っていうけど、世の中に少ないから名作って呼ぶんであって、残念だけどそんな作品は全体からすりゃほんの一握りだ。

世界中に星の数ほどある本の中から真の名作を探し出すのが読書最大の楽しみなんだ。
だが初心者だと、そもそも何が本における芸術性なのかわからないだろ?だから、読みやすい本から読んでいくことが名作に当たる近道になるんだぜ!

ミステリーで読みやすいっていったら、この作家がいるよな。

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
アガサ クリスティー Agatha Christie 中村 能三
4151300082

映画も名作なんでトレーニング用に紹介しておくぜ。想像力を鍛えるための副教材として活用してくれ。

オリエント急行殺人事件 スペシャル・コレクターズ・エディション
アルバート・フィニー ローレン・バコール イングリッド・バーグマン
B000CST6VY

ミステリー作家はその性質上、文章巧くなきゃやってられない商売だけど、特にアガサ・クリスティーは抜群に読みやすいことで有名だ。
クリスティーの原書を英語の勉強に使っている人もいるってくらいだから、いかに読みやすいか、ってことだよな。

ところで、この基礎プログラムでは、オレの好みを抜きにして、とにかく読書力トレーニングに最適な教材を選んでる。
もちろん好みもあるから、無理に勧めるわけじゃない。だが、採りあげた作家名と、クリスティーだったら「オリエント急行」「アクロイド殺し」「そして誰もいなくなった」「ナイル殺人事件」あたりが名作、ってくらいは何となく覚えてくれ。

そういう知識が、あとになって思わぬところで役に立つのが読書ってやつの面白さなんだ!

みんな、最後まで良く頑張った!1、2、3、ヴィクトリー!


2008年4月1日(火曜日)

ながら読め!

カテゴリー: - リーダー @ 23時00分59秒

「本が読めない」理由として、みんな良く「本を読む時間がない」って言うよな。
相手がフリーターなんかだったら、問答無用に首根っこひっ捕まえてでも「読め!」っていえるけど、普通の人は仕事もあるし、家でもやらなきゃいけないことだって多いだろう。

でも、良く考えてみてくれ。時間がない、って言うけど、テレビを見る時間はあるんじゃないか?

テレビ見ないで本を読めとは言わない。テレビってヤツは、つけてないと何となく寂しいもんだからな。
だから、テレビ見ながら本を読めばいいんだ!

なに、慣れちまえばそんなに難しいことじゃない。読書好きはみんなやってることだ。
そういうのを、"ながら読み"っていうけど、これは別に専門用語じゃないから覚えなくてもいいぞ。そのまんま過ぎるしな。

普段ボーっと観ちまうから気づきづらいけど、テレビには結構待ち時間がある。コマーシャルとか、そうじゃなくてもつまんないシーンなんかもあるだろう。そういうときに、何となく本を開いて目を通してみる。そこで何かひっかかれば、本の方に集中するかもしれないよな?
もしテレビの方が気になるんだったら、読むのをやめちまえばいい。そういうときの為に"しおり"って便利なもんがあるんだ!

本ほど、いつ始めてもいつやめてもいい娯楽はない。これを活用しない手はないぜ!

前回のトレーニングで、携帯ゲーム機よりも携帯性に優れてるって言ったのを覚えてるかい?
本だったらどこへだって持ち出せる。逆に言えばどこにだって置いておけるってことだから、慣れた人だと、"リビング用""寝室用""トイレ用"って本を分けてそこに置いておく人もいるくらいだ。

そうやってちょくちょく本を開く機会を持てば、そうだな、どんなに忙しくても一日合計1〜2時間くらいは読めるだろ?そういうクセをつけちまえばしめたもんだな。

ただ、読み慣れないうちは「それじゃいつまで経っても一冊読み終わらない」って思って、そのこと自体がプレッシャーになっちまう場合もあるだろう。

だがちょっと待ってくれ。そういうときのために、少しの時間さえとれりゃ最後まで読めちまう小説もあるんだ。そういうのをショートショートっていうんだ!そのまんまだけど、凄く短い小説のことだ!

ミニ・ミステリ傑作選 (創元推理文庫 104-24)
エラリー・クイーン 中村 保男
448810424X

これは、エラリー・クイーン(世界で一番有名なミステリー作家といっていいだろう)が選んだミニ・ミステリ(ショートショート)67編を集めたアンソロジー(←この言葉前に教えたよな?覚えてるか?)だ。

全部ミステリーだけど、セルヴァンテス、モーパッサン、チェーホフといった名だたる作家の作品も入ってる。19世紀を代表する文豪ディケンズの小説がをこんな短い時間で読み終われるなんて、効率的だと思わないか?

「このあと何百ページも読まなきゃいけない」ってプレッシャー無しに、いつでもどこでも開いてちょっとずつ読む。こういう読書スタイルを身に着けちまえば、自然と読書力がついてくるってもんだ!

逆に、短すぎて何か物足りない、って気持ちも起きてくるかもしれないな。
でも覚えておいて欲しいのは、普通の長編小説も結局基本は短い小説の積み重ねだってことだ!
だから、ひとまずはこういうすぐ読み終わるショートショートなんかを利用して、いつでもどこでも、例えちょこっとしか読む時間がないとしてもその時間にちょこっと読んで、それを積み重ねるってトレーニングを心がけて欲しい。

みんな、最後まで良く頑張った!1、2、3、ヴィクトリー!


2008年3月24日(月曜日)

積ん読け!

カテゴリー: - リーダー @ 23時21分10秒

庫本を全然持ってない、ってヤツは多分いないだろう。でもみんな「読書くらいしなきゃ」って感じてる。

本屋で何冊か買ってはみたはいいけど、世の中にはもっと楽な娯楽が溢れてる。
結局読まなくなった本を目の片隅で見ては「やっぱり自分には本が読めない」なんてあきらめてるんじゃないか?

でも安心してくれ。買ったのに読まないで置いておくのを"積読(つんどく)"っていうけど、実はそれも読書のうちなんだ!

読書好きってのは積読も含めてある程度は読んだ本の中にカウントしちまってる。ズルみたいだけど、人間読書に割ける時間は限られてる。その間にも興味ある本はどんどん出てくるし、最近の本は売れないとすぐ絶版になっちまうから、売ってるうちに買っといた方がいいって事情もある。

ちょっと昔の人は著者別の全集を良く買ったもんだ。その当時だってそれをすぐに読むヤツなんか珍しかったんじゃないか?「自分はいつでも坂口安吾の全作品を読める」とかって安心感や満足感を一応得ておくのが大事で、それも含めて読書という行為になるってことだな。

本だから、って特別に考えるからかしこまっちまうんであって、そうだな、例えば君がゲームソフトを買ったとしよう。これは面白くないな、とか、自分に合わないな、と感じてやらなくなったところで、罪悪感を感じたりはしないだろ?いつかはやるかもしれないからとっとこう、ぐらいに考えるんじゃないか?
本だっておんなじだと考えればいいんだ!

積んどくことも含めて、ゲームみたいに読書をすればいいんだ!

DS文学全集
B000VQOKBS

本だと敷居が高いと感じた君も、DSのソフトならそうでもないだろ?しかもこれには日本の名作文学が100作品も入ってる。全部を文庫で買うよりはるかに安いんだぜ!

この100、って数字もポイントだ。あくまで俺のトレーニング理論だが、文庫100冊読めば読書マスターだと思ってる。つまり、この3000円足らずの投資で、親に何百万も出してもらって大学行ったヤツよりインテリになれる可能性が出るってことだ!

しかも、いわゆる純文学系のものはこれ一つ持っときゃ大体いいんじゃないか?ってくらいのラインナップになってる。あとは好みとか必要に応じて買い揃えれば良い。
小説以外にも福沢諭吉の「学問のすすめ」とか、ユニークなのだと九鬼周造の「「いき」の構造」なんてのも入ってる。どっちも昔のインテリの必読書だ。そういうのを持ってる、ってだけでも今までの生活とは一味変わった、って実感が沸くんじゃないか?

100冊持ってる、って事実そのものに意味があるわけだ。これぞ最高の積読じゃないか?

いいことばっかりみたいだけど、これはあくまでDSのソフトだってことを忘れないでくれ。
本みたいに折り曲げたり線を引いたりすることはできないし、それに、いくら携帯ゲーム機といっても、本みたいにどこにでも持ってくわけにはいかないよな?例えばトイレなんかに持ってくには少し抵抗あるだろ?ゲーム機そのものは高価だしな。

本は携帯ゲーム機よりも携帯性に優れてる、ってことを再認識するのも、立派な読書トレーニングなんだ!

ところで、「この基礎プログラムではミステリーを扱うはずじゃ?」って思ったヤツもいるかもしれないな。
実は、このソフトをお勧めするのにはもう一つ訳がある。

このソフト、元々収録されている100冊以外にも、後でダウンロードできる作品が配信されている。
その中に岡本綺堂の「半七捕物帳」が入っているんだ!

「半七捕物帳」は江戸時代を舞台にした推理物で、いわゆる捕物帳の元祖だ。
ちゃんと読書力を鍛えてる読書好きはみんな読んでるんだけど、何故かあんまり書店に並んでない。
機械を利用してでも是非読んで欲しいと思って、ミステリーカリキュラムの一環として取り上げたわけだ。

みんな!最後まで良く頑張った!1、2、3、ヴィクトリー!


2008年3月17日(月曜日)

映画は本のトレーニングマシーン

カテゴリー: - リーダー @ 23時25分21秒

たり前だけど映画なんかと違って小説は文字ばっかりだ。

文章で書かれている情景を、すぐに絵として思い浮かべられないまどろっこしさから、小説を敬遠してるヤツは多いんじゃないか?

だからみんな、どうしても映画やテレビを選んじまう。誰だって楽な方がいいからな。
でも「想像力がいらない」ってことは、逆に言えば「想像力を養うチャンスを失う」ってことでもある。筋肉と同じで、鍛えてなきゃ衰えていくばっかりだ。
だからみんなだって本を読まなきゃ、って危機感を抱いてるわけだろ?

「自分には想像力がない=本が読めない」って諦めちまってるんじゃないか?

でもな、筋力と同じで、人間の想像力にも限界がある。
だって、見たことも無い場所を想像で思い浮かべろったって、出来ない相談ってもんだろう?

ハナっから不可能なことで読書を敬遠しちまうんじゃつまんないだろ?
いい方法がある。もしあるんだったら映像で見ちまえばいいんだ!

世の中には原作つきの映画ってもんがあるだろ?そいつを観ちまえばいい。
実は読書好きはみんな結構やってることなんだ。
想像力で補えないところは他人任せにする。そうすると、内容もスゥッと頭の中に入ってくるってもんだ。

映画は本にとってのトレーニング器具みたいなもんなんだ!

この基礎プログラムでは今んとこ教材としてミステリーを利用してるから、例題は今回もミステリーから取り上げるぞ。
小説と映画両方があるミステリーっていったら、もうこれしかない。

犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)
横溝 正史
4041304059

犬神家の一族
石坂浩二 高峰三枝子 三条美紀
B00005HKPR

これなら観たことあるヤツも多いんじゃないか?2年位前にリメイク版が公開されたからな。そっちでもいい。出来は大体同じくらいだ。

もちろん舞台は原作も映画も同じで、長野県の湖畔っていう、行った事でもなきゃ簡単に想像出来ない場所だ。
そういう情景を、映画じゃちゃんと取材して、小説のイメージに合うように撮影してる。これを活用しない手はないぜ!

コイツに限らず想像力に自信が無い、読んでてイライラするって思ったら映画化されている小説を、映画とセットで味わってみるといい。
このトレーニングは特に外国が舞台の翻訳ものなんかでは効果的だ。
「犬神家」は原作と映画どっちもミステリー史、邦画史に残る名作って珍しいケースだから今回取り上げたけど、海外の映画化小説についてもまたあとで鍛えたいところだな。

このトレーニングのコツを話すからよく聞いてくれ。
小説と映画は、作る側の立場に立ってみると根本的に違うモンなんだ。
監督からすりゃ、小説の内容を全部映画にするのは無理な相談なんだ。
だから、映画では小説のどの部分をカットしたか、逆に強調したのはどこなのか比較しながら観ると、監督と同じような視点で原作を理解できるようになるんだ。
何となくでもいいから、一度試してみて欲しい。

みんな、最後まで良く頑張った!ヴィクトリー!


2008年3月10日(月曜日)

ミステリー!

カテゴリー: - リーダー @ 22時44分30秒

んなは、本が読めない自分にコンプレックスがあるんじゃないか?

本を買ってきて読んでも続かない自分は知性が無いんだとあきらめてるんじゃないのか?

確かに近頃は活字離れが叫ばれ、本を読まないヤツは多いだろう。

しかしそれは、本が読めない、という能力の問題とは違うんだ!
だってみんな、雑誌は読むだろ?

それは本が読めないんじゃないんだ、小説(物語)に慣れていないだけなんだ!

これからこの基礎プログラムでは、小説(物語)に慣れる為のカリキュラムをこなしていくぞ。

こう言うと意外かもしれないが、小説には大体のルールがある。
このルールってのは、小説の骨格や筋肉みたいなもんだ。
身体鍛えるとき、闇雲にやったって、どこに効果が出たんだか感じられなかったら続かないだろ?
それと同じで、ルールを読む側が理解しちまえば、効率よく小説が読めるようになるってことだ。

今どこを鍛えてる、って意識する、つまり「私は今、小説の構造の何を読んでる」って意識できることが面白く読むコツなんだ。

俺たち人類の長い歴史で、何でみんながこれまで本を読んできたかというと、

「その話の続きはどうなるの?」

という欲求からなんだ。もっと言えば「この事件の犯人は誰なんだろう?」「この主人公は助かるのかな?」って感じのことが気になって最後まで読むわけだ。

だから、小説の中心には、さっきの「犯人は誰なのか」「主人公は助かるのか」というような、謎がある。言ってみりゃ小説の背骨だな。
この背骨は、そのまんまだが、文芸用語で”セントラル・クエスチョン“っていうから、覚えておいた方がいいぜ!
なあに、身体鍛えるときに骨格や筋肉の名前を覚えとけば、どこを鍛えたらいいかわかりやすいだろ?そんなものだと考えてもらえばいい。

人が小説を読むときは、あくまで基本的にはだが、セントラル・クエスチョンが解決されるのを楽しみに最後まで読むわけだ!

それを体感してもらうために、勧めたいジャンルがある。それが、ミステリーだ!

小説の構造を分かりやすく理解するために、ミステリーから入るってのはいいんだ。
何故かって?それは、「犯人は誰なのか」などのセントラル・クエスチョンが絶対にあって、それが解決されないことは絶対に無いからだ!どうだ?おあつらえ向きだろ?

ミステリーなら何だっていいけど、俺はまず短編をお勧めするぜ。短いからな。

贈る物語 Mystery (光文社文庫)
綾辻 行人
4334741436

これは、日本のミステリー作家・綾辻行人って人が、古今東西のミステリーを見繕って編んだ短編集だ。こういうのをアンソロジーっていうけど、それは何となく覚えときゃいい。
要は、この本自体が、「ミステリーってこういうものですよ」って作られた、ミステリー理解強化カリキュラムになっているってことだ!
それならさしづめ編者の綾辻氏はインストラクターってところだな。何にせよ、最初はインストラクター付きの方が安心して取り組めるってもんだ。

あとコイツがいいのは、手に入りやすいってところだ。気の利いた本屋なら大体売ってるから試しに買って、寝る前に一編ずつでも読んでみるといい。

コツは、「犯人は誰だ」というセントラル・クエスチョンを面白く解決させるために、それぞれの作者が何をしてるのかを感じようとすることだ!それが、小説を読む基本中の基本なんだ。基本は大事だぜ!

みんな、最後まで良く頑張った!ヴィクトリー!


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