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モザイク団の三郎君

古河市全体は晴れ渡り、"古河市三和いこいの家"内部は薄暗かった。

もし"コソコソ運動する"なる状態があったとすれば、この日の私たちのことだったろう。
私たちはまた乏しい演劇知識を総動員した結果、活動の主軸として、週に2度公共施設を借りることとなった。

演劇の基礎練習として、まずこの日のような腹筋運動を選択した己の決断にも半信半疑であったし、わざわざ賃金を払ってまですることか一瞬でも疑問に思わなかったといえば嘘になる。

が、平凡な道筋でアマチュア演劇を始めた若者たち、すなわち大学の演劇サークルなどであれば、稽古するのにビタ一文とて払う必要が無いと知るのはもっとずっと後のことなのだ。
主宰である私の決めた方針に疑義を挟む者は10名を超える劇団員のうち一人も無かった。

いつかのあの夜―すなわち「劇団やるぞ」以降始めてとなった顔合わせの夜、劇団名が「モザイク団」となった以外に、もう一つ私の意に沿わないことが決定された。私が主宰に選出されたのである。

理由は、私が過去学級委員長や生徒会長、部活の主将、自己批判ショーのリーダーに選ばれたのと同じだった。そのとき一番身長が高かったのである。

私の行動様式として、この当時から現在に至るまで変化が見られない事柄は多い。
腹筋運動をするとなったら、その方法の様々を予め調査し、プリントにまとめて配布するのもその一つである―私はその当時としては珍しいことに、ワープロ専用機を持っていた―今は亡き父が買ってくれたものだ―私はその機械で「ラジオ体操第一のつもり」「ホテル」など代表作の多くを書いた―父もまさかそんな一銭にもならぬことに使用されるとは思ってもみなかっただろう―また私も、ここでこんなにまで「―」を多用するとは思ってもみなかった―その日も当然人数分刷ったのであるが、いつものように10部近く余る結果となった。

劇団全体の行動様式として、この当時から現在に至るまで変化が見られない事柄は多い。
稽古に集うべき人数のうち半数以上が遅刻するのもその一つである―ここで言う遅刻とは、やむを得ぬ事情により連絡の上遅れてくるのではない―何の知らせも無しに遅れ、酷い時は来もしないことを指す―ここでも「―」を多用してバランスを取ってみた―私はこのモザイク団から自己批判ショーまで、プロデュース公演も含めてこれまで6つの劇団に携わってきたが、参加者や劇団名がどの様に変わろうとも遅刻者の割合だけは全く変わることはなかった。

私はもし仮に、ここまでお読みになったどなたかに、
「劇団員って、時間に融通を利かせるために皆フリーターだったりするんでしょ?何で遅刻するの?」
と問われたならば、
「遅刻するような人間だからフリーターとしてしか演劇が出来ないのだ」
と答えるだろう。

そんな中にあって、他の大勢とは一線を画す態度で練習に臨んでいた人物がいた。 のちに自己批判ショーのオリジナル・メンバーとなった三郎君(仮名)であった…そして最後の一文が前回と全く同じになってしまったのを後悔しているのは私栗原(実名)であった…(つづく)。

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